上司の言うことは絶対である、ということが頭にありながら、
部内や部門間の意見の一致(コンセンサス)を重視する日本人。
このあいまいな日本人の二面性は、
外国人に誤解されてしまうコミュニケーション方法の1つです。
今日は意思決定がトップダウンの国
(ロシア・東南アジア・アメリカ・イタリアなど)の従業員と、
どのようにすれば誤解を避け、気持ちよく仕事を進められるかについて、
私がイタリアで働いていた際、実際に起こったことを元に紹介していきます。
なぜ部長がこんなことで合意をとろうとするの?
日本人の部長(兼役員)を持つイタリア人課長にこんなことがありました。
伊人課長
「イタリアの展示会でお客さんに提供する景品が、
イタリア営業と話してペンに決まったので、購入の承認をお願いします。」
日本人部長
『わかりました。
承認しますが、その前にもう一度イタリア営業と合意をしておいてください』
伊人課長
「はい…
(そもそも営業と話して決まったことだし、
なぜペンごときでそんなことしなくちゃいけないの?
あなたにその決断能力はないの?
普段は意見を言われることもあまり好きではないくせに)」
対象がペンなのか予算なのかの程度はあれど、
こういう状況は会社でよくあることです。
そして、
『確かに後々の不要なクレームを避けるために再度合意をとるのはわかるけど、
なぜそこまでしなくちゃいけないの?』
というのがイタリア人課長の純粋な疑問なのです。
各国の意思決定のプロセス
この意思決定のプロセスの違いが、
予期せぬところで、以下のような誤解や不満を生んでしまいます。
1.あなたが上司の場合、上司としての素質を疑われてしまう
2.あなたの部下が地位を持っている場合、
「自分で意思決定をできないため、リーダーの素質が疑われるかもしれない」
という不満を与えてしまう。
意思決定の慣習は、文化によって違いがあります。
そのため、仕事をうまく進めるために行った、
『周りとコンセンサスをとる』という行動が、
逆に上司としての素質を疑われるキッカケの1つになることもあるんです。
下記の画像は、国ごとに分けられた意思決定の習慣を示したものです。
左に位置している国ほどトップダウンの意思決定を好み、
右に位置している国ほどコンセンサス重視の決断を好む傾向にあります。
つまり、ロシア・イタリア・アメリカなどの国から見ると、
日本はコンセンサスを重視する文化と見え、
スウェーデンやオランダから見ると日本はトップダウン重視の文化と見受けられます。
お互い気持ちよく仕事をするには、
あなたが仕事をしている国と日本の違いを受け入れ、
共有し、現地の人と歩みよりをすることです。
今まで現地従業員に色々苦労させられた方は
「彼らが受け入れられるはずがない」と思うかもしれませんが、
例にでたイタリア人課長のように
「仕事をスムーズに進めるためにコンセンサスをとるのだ」と
予想できる現地の人もいます。
お互い完全に理解しあうことは無理かも知れませんが、
あなたの思考や行動の意図を明らかにし、
あたなも相手の違いを受け入れることで、
お互いが仕事がしやすくなり、信頼関係も築けるようになります。
まとめ
あなたが働いている国が日本よりトップダウンの意思決定をする場合:
1.コンセンサスをとる目的を現地の人と共有する。
2.コンセンサスをとる事項を重要事項(予算・案件・対象相手など)に絞る。
3.社内構造や個人の能力を判断し、できるだけ現地の人に裁量を与える。
どちらかの文化のやり方を押し付けるのではなく、
お互い歩み寄りをしてよりいい仕事の環境を作り出せるのが一番いいですね!
おまけ:
私の個人的な経験ですが、
ヨーロッパ人やアジア人とは比較的歩み寄りがしやすいです。
アメリカ人はもうひとステップ踏まないと少し難しい、というのが印象をもっています。