英語で意図を伝えるために必要な【6W2H】

「英語は話せているはずなのに、相手に伝わっていない」
「ちゃんと指示したのに、期待通りに動いてくれない」

外国人と英語で仕事をしていて、そう思ったことはありませんか?
私たちは、言語さえできれば外国の方と意思疎通ができると思いがちです。
ですが、実際は言語能力が高くても相手に伝わるような「話し方」ができていないと、思うように意思疎通はできません

今日は、その「相手に伝わる話し方」のポイントの1つ、6W2Hについて。
「英語を話しているのに伝わらない」という方は、まずはこの6W2Hを意識してコミュニケーションを取るようにしてみてくださいね。

日本人と外国人の間に生まれてしまうミスコミュニケーション

日本人に外国人と仕事をする上で大変なことを聞いてみると、ほとんどの人がこのように言います。

「英語を使って依頼したのに、海外の人はちゃんと仕事をしてくれない」
「仕事の完成度が低く、結局自分で仕事をしなければいけない」

一方で外国人に同じ質問をすると、彼らは私にこのように言います。

「日本人は仕事の依頼や指示が不明確だ」
「日本人の話の趣旨がよくわからない」

この日本人と外国人の意見を見てみると、日本人は英語を使ってちゃんと依頼したつもりなのに、海外の人にはそれが伝わっておらず、ミスコミュニケーションが生まれている可能性があることが分かりますよね。

事実、私がイタリアで働いていた際に、イタリア人から頻繁に受けた質問は、

『○○(日本人)からこのメールが届いたんだけど、彼は一体何を依頼しているの?』でした。

この違いの原因は、英語力からくるものではありません。

言葉以外の情報に頼る日本人

私たち日本人は長年単一民族で島国に暮らしてきたことから、言葉以外の「空気」や「間」を読み、「忖度」をする独特のコミュニケーションスタイルを持っていると言われています。

つまり私たちの常識は、言葉以外の『背景』(話し手の気持ちや状況を考えたり)『空気』(相手はどんな声のトーンで表情をしているのか)をベースとしてコミュニケーションをとることです。

これに対して、特に移民から成り立ったアメリカや、異文化間での交流が頻繁に合ったヨーロッパ諸国では、「意思や意図は、言葉にしないと相手に伝わらない」というのがコミュニケーションの常識になっています。

この違いが、「日本人は伝えたつもりなのに、外国人には伝わっていない」という状況を作りだしてしまいます。

そのため、空気を読んでコミュニケーションをとる私たちが海外の方と円滑な意思疎通を図るためには、意思や意図を言葉として伝えることがとても重要です。

6W2Hであなたの依頼を明確に伝える!

「意思や意図を全て言葉にして伝える」と急に言われてもできない、と思う方が多いと思いますが、6W2Hを意識すると、まずはあなたの意図を明確にすることが出来ます。

6Wとは:When, Where, Who, Whom, Why, What
(いつ、どこで、誰が、誰に、なぜ、なにを)
2Hとは:How, How much
(どのように、いくら)

もちろん、このすべてを会話に盛り込む必要はありませんので、会話内容によって必要な6W2Hを入れ込むようにしてください。

では、ここで私のお客さんからよく頂く「依頼に対応してくれない」というクレームを例にとり、どのように依頼したら、相手に意図が伝わるのかを説明していきます。

6W2Hが明確な「良い依頼例」

では、営業が技術チームに見積り依頼をするとしましょう。

「客先から技術資料の見積もり依頼がありましたので、準備をお願いします。
必要な資料は、データシートと品質確認チェックシートで、
品質確認シートは品質管理に内容確認をしてもらうようにお願いします。
来週の水曜日午前中までに、技術資料の準備をしてもらえますか?
来週金曜日の客先社内の事前検討会に間に合わせなければいけないので、この期限は厳守してください。」

上の例では、下記が明確になっているのが分かるでしょうか?
「なにを」:データシートと品質確認チェックシート
「誰に・どのように」:品質管理に内容確認を
「いつ」:来週の水曜日午前中までに
「なぜ」:来週金曜日の客先社内の事前検討会…
「どのように」:この期限は厳守…

このような依頼の仕方をした場合、受け手は営業の意図を「予想」「想像」しなくて良く、仕事が進めやすいです。

日本人がしがちな6W2Hのない「悪い依頼例」

私たちが日本人、とくにTOEIC500点から600点の人が、よくしてしまう悪い依頼例をここで紹介します。

「客先から技術資料の見積もり依頼がありましたので準備をお願いします。
いつも通りデータシートと品質チェックシートを作って、
来週中盤にはお送りいただきたいです。」

上の悪い例では、基本的にすべてが不明確です。
「なにを」は「データシートと品質チェックシート」とは言っていますが、「どのように」の説明がないため、思っていたものと違うものが出てくる可能性があります。
とくに「いつ」に関しては「来週中盤」とは言っているものの、この「来週中盤」の感覚は個人により異なるため明確にしておくことが大切です。

そして、何よりこの依頼文には「なぜ」が欠けています。
実は、外国人に依頼をするときは「なぜ」があった方が期限を守り対応してもらいやすいです。
なぜなら、「なぜ」を説明することで、あなたが自分だけのためにタイトなスケジュール設定や精度の高い見積もりを依頼していないことが分かるから。

明確な依頼内容と共に依頼理由をしっかり相手に伝えることで、より相手が対応しやすくなる環境を作ってあげましょう。

6W2Hであなたの意図を明確に伝えよう

私たち日本人が異文化の中でコミュニケーションをとることは、日本人とのコミュニケーションに比べると労力を要します。

ですが、この6W2Hをおさえておくと相手はあなたの言いたいことが明確に理解できるので、コミュニケーションが円滑にとれるようになります。

特に依頼をする際は、6W2Hを使うことで「何をいつまでに、どのようなものを」を明確に相手に伝えるだけでなく、「なぜ」それが必要なのか、その正当性を補強する情報を伝え、相手が依頼対応をしやすい環境を作るようにしましょう。