海外でも「忖度」ってあるの?

2017年の流行語大賞に「忖度」という言葉が選ばれました。
日本で忖度はコミュニケーションの一部になっており、誰しもが多かれ少なかれ、「空気を読む」「相手の気持ちを察する」などの忖度をしながら、人間関係を築いています。
では、海外ではそんな「忖度」はあるのでしょうか?

特に、同僚とのコミュニケーションにポイントを置き、彼らの「忖度」を見ていきましょう。

同僚とのコミュニケーションに「忖度」はない

日本では、遠まわしな表現で自分の要求を伝え、相手が自分の要求をくみ取り(気持ちを推察し)、会話が続いていきます。
例えば、会議で誰も発言をしないと、目くばせをしながら空気を読み、誰かが発言をしますよね。
ですが、外国人(特に欧米人)は忖度をしません。

会議でも意見を出し、反対意見も相手の気持ちも考えず明確に出します。
この空気を読まない (忖度をしない) 外国人と日本人が仕事を進めると、ミスコミュニケーションが起きてしまい、仕事がスムーズに進まない、ということはよくあることです。
では、なぜ私たち日本人は忖度をして、外国人は忖度をしないのでしょうか。

それは、私たちと外国人は、文化的にコミュニケーション方法に大きな違いがあるからです。

そもそも忖度って何?/ハイコンテクスト文化・ローコンテクスト文化

そもそも「忖度」とはこんな意味を持っています:
他人の気持ちをおしはかること。推察。
(三省堂辞典より)

アメリカの文化人類学者であるE・H・ホールが、コミュニケーション方法を識別する方法として唱えた「ハイコンテクスト文化とローコンテクスト文化」という一つの指標があります。
この指標は、どれくらい非言語的な要素(空気を読む、以心伝心等)に頼ってコミュニケーションをとるかを表したものです。

この『忖度』は非言語的要素に頼ったコミュニケーションの一つです。

日常的に忖度をする日本人/ハイコンテクスト文化

日本はハイコンテクスト文化の国と言われており、非言語的な要素に頼る傾向が強くあります。
つまり、言葉で完全に説明しなくても、雰囲気や空気を読み、共通する前提条件や認識を考慮しながら相手に意図を伝えることができます

例えば、私たちは相手の提案を断る際、「それは難しいですね」という表現をします。
この表現をあなたがした場合、相手はあなたの「その提案は受けられません」という意を無意識のうちに忖度し、コミュニケーションをとっています。

言葉で明確に伝える欧米人/ローコンテクスト文化

一方、英語やヨーロッパ言語を話す文化は、ローコンテクストで、コミュニケーションをとる際は、言語的な要素(言葉による意思疎通)に重きを置いています

例えば、相手の提案を断る際、欧米人は、このように表現します。
”Unfortunately, I cannot accept your proposal”
(残念ですが、あなたの提案を受けることはできません)
決して”It is difficult…”(それは難しいですね)という表現をしません。

欧米では現在も歴史的にも国をまたいだ交流や移民が多く、日本に比べて様々な文化背景や常識を持つ人たちが生活をしています。そのため、より直接的に言語化して話さないと相手に意図は伝わりません。

そんなコミュニケーション方法が対局にある日本人と欧米人が一緒に仕事をすると、次のような問題に陥りやすいです。

ビジネスシーンで日本人が陥りやすいパターン

ケース1. 「考えておきます」の意味は?

外国人部下「先週依頼された新商品の提案書を作りました。どうでしょうか?」
日本人上司『(書類に目を通しながら)少し考えておきます』

一か月後、何も進展なし

外国人部下「(考えるって言って、全然考えてくれてない…)」

外国人に「考えておきます」という言葉で遠まわしに断りを入れても、彼らはそれに気づくことはありません。
ちゃんと提案書を見て“考えて”くれているのだ、という理解をしてしまいます
そのため、質問はないか、直すところはないかと、あなたからのフィードバックを求めます。

このミスコミュニケーションを避けるためには、相手に現状を明確に伝える必要があります。
提案書が不十分である場合は、相手にどこが不十分であるか明確に伝えましょう。
また、急ぎではなく優先順位が低い場合には「この件はスケジュールに余裕があるからいつまでに見ておく」など相手に現状がわかるように伝えることが大切です。

こちらの記事も参考にどうぞ:

「考えておきます」と言って、本当に考えていますか?

ケース2.「だから何?」外国人に伝わらない意図

あなた『現在A社に対してアプローチをしているところです』
外国人上司「A社はターゲットにするには売上が小さすぎるから、他の会社をターゲットにしてくれないかな?」
あなた『○○の市場は2015年に比べて伸びています。A社の競合B社も着々と売上を伸ばしています』
外国人上司「○○の市場が伸びているのは知っているよ」
あなた『しかも、○○は△△で~~~(市場情報や関連情報を永遠と続ける)』
外国人上司「・・・(だからなに?)」

要求の背景を伝えるだけでは、相手はあなたの要求に気が付きません
また、例え気が付いたとしても、あなたが実際の要求を言うまで、相手は口を開きません。
そのため、上記のようなケースで外国人が、「ならA社は対応した方が良いね」と、あなたの言いたいことを推察してくれることは、日本人と仕事をすることに慣れた上司など、レアケースと言えます。

「結論」→「根拠」→「結論」で伝わる会話を!

外国人と話すときは、相手の忖度を期待せずに、自分の要求や意思を明確に伝えることが必要です。

ケース2を例にとると、
「売上はまだ小さくてもA社は対応するべきだと考えています。なぜなら市場が…」
「市場が2015年に比べて伸びているので、A社は今のうちに対応しておくべきだと考えます
のように、自分の要求・意思を相手に伝えましょう。

また、「説明部分」が長すぎると、相手は私たちの言いたいことのポイントがつかめず、会話の迷子になってしまうことがあります。
そのため「結論」→「根拠」→「結論」という形で、相手に説明をすることが一つのポイントです。

外国人との会話に慣れることから始めよう!

日本人とはうまく仕事の会話が続いていくのに、外国人とは続かないのは、ただ単に私たちが彼らの話し方に慣れておらず、言わんとすることが伝わらないからです。

まずは外国人との会話に慣れること、そして、彼らがどのような話し方をしていて、どのようにすれば自分の言いたいことが相手に伝わるのか(結論→根拠←結論のスキム等)を理解することが大切です。

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