欧米人には理解不能!女性蔑視問題の裏に隠れる「会議の概念」

森元首相の女性蔑視発言のニュースがやっと納まりましたね。
前後の文脈も見た上で、私が思うのは、彼の発言は国際的に受け入れられるものではなく、先進国の中で、日本が女性を差別している国で、それを国のトップの人が率先してしている。

つまり、日本は、国として女性を差別している、という印象を全世界に生放送・同時通訳で発信してしまったわけですが、、、

実はこの問題、異文化サポートをしている私からすると、女性蔑視だけではなく、様々な文化背景の違いが絡まる問題で、一概に女性蔑視の問題だ、という言葉では、片付けられません。

そこで今日は、皆さんが欧米人と仕事をするときに関係してくる、欧米人と日本人で異なる、そもそもの会議の概念という視点から、この問題を見ていきます。

ここを理解して彼らとの仕事を進めないと、「卑怯者」「汚いやり方をする人」という、印象を欧米人に与えてしまうので、注意しましょう。

日本人が意思決定をする際に必ずしていること

では、早速質問です。

私たち日本人が、特に中堅から役員レベルの方が、何かを決定する際にしていることは何だと思いますか?

それは「根回し」です。

勿論、企業の体質によっては、根回しをしない企業もあるでしょうし、根回しをしない人もいます。
でも、欧米人と働いた経験を元にお話をすると、日本人はビジネス上で「相手を掴んでおく」つまり、「根回し」をすることがとても多く、それを、「調整力がある」「人を動かす力がある」と評価します。

一方で、欧米ではどうなのかというと、ほとんどの欧米人は根回しをしません。
そして、根回しをすることを「Backroom dealing」、つまり「密室の取引」と表現をし、公式な場ではなく、隠れて汚いことをやっている、という印象を与える表現をします。

欧米では会議は協議をして決定する場であり、日本のように既に裏で決められた決定事項を
公式にする場ではありません。

そんな会議に対する概念が違う、日本人と欧米人が一緒に会議をするとどうなると思いますか?

日本人は、

「外国人がいる会議は時間が長くかかる」

「何も事前に考えずに、急にブレインストーミングが始まったよ!」

「大勢の前で否定したり『そもそも論』をだしてくるなんて!」

そして、欧米人は、

「日本人は議論に参加もせず、存在してないも同然だ」

「俺たちが見ていないところで既に話を進めているなんて卑怯者だ、信頼ならない」と、

思ってしまいます。

勿論、卑怯者とは一緒に仕事をしたくないので、彼らはこの経験を元に、日本人に伝える情報などを制限していくわけです。
そして日本人は、いつもヤーヤー言ってくる欧米人に情報共有をしたくありません。

結果、コミュニケーションがうまくいかず、案件がうまく進まないことになります。

だから、あなたがグローバルな環境で、欧米人と仕事をするときは、「根回し」よりも正々堂々と、会議の場でしっかり議論することが大切で、これだけで、情報共有の度合いが大きく変わります。

根回しが作用しない新参者との会議

ここで、森元首相の話を見てみましょう。

彼は、「調整力に手腕がある」と言われているように、根回しや政治的に動くことが多かったのではないかと思います。
そんな彼が意思決定者として存在している会議に、「新しい価値観を取り込む」という目的で女性や若い人が入ってしまうと、決定権のない新参者に、根回しをする必要はないわけですから、彼らは事情を知らず、会議中に疑問や意見を出し、

「まとまっている話をぶり返す、会議を長引かせる要因」

このような存在として見られてしまいます。

私はこの構図が、日本人と外国人が、会議や意思決定をする際に陥ってしまう構図に見えて仕方ないのです。

勿論、森元首相の女性蔑視ととれる発言は、私は恥ずかしいことだと思うし、科学的根拠と異なることを平気で言っていることも、とても残念なのですが、外国人と働く機会が増え、価値観が大きく異なる若い世代と仕事をする機会も増える中で、日本の仕事の進め方や会議の概念について大きく考えされるニュースでもありました。

あなたはどう思いましたか?